--2002.1--

待ちに待ったディッティングミルがやって来ました。

ディッティングミルの名前を聞いてから足掛け3年、ようやく我が店にやって来た

ディッティングミルなのですが・・・一向に減らない微粉の量。

何とかして林さん。



消煙器をつけてから初めての冬がやってきて、覚悟はしていたものの、排気が良くなりすぎて、

釜の不安定さはそのまま味の不安定につながり、悩みすぎてまたまた白髪が増えました。



私が密かに尊敬しているコーヒー屋さんがあります。

実は今日その方が、そんな私を見かねてはるばる我が店にやって来て下さいました。

何十年もかけて、苦労を重ねて積み上げてきたものを惜しげもなく私に与えてくださいました。

「あんまり悩みすぎたら、ノイローゼになるでえ。はははっ。」

「はは・・・(もうすでにノイローゼなんですけど・・・。)」

やっぱり私が思っていた通りその人は、「日本一かっこいいコーヒー屋さん」でした。

昔誰かに言われたことがあります。「コーヒーは人間が出るわよー。」と。

その意味が私にもわかったような気がします。

コーヒーは不思議な飲み物です。世界中の人たちが苗を植え育て摘み取り、

世界中の人たちが世界中から買い付け、そして世界中の人たちが頭を抱えながら焙煎し、

そのたった一杯のカップの中に、世界中の色々な人たちの情熱や苦労や夢が詰まっている。

人間の暖かさや情熱や夢の味がする飲み物。そんな飲み物が他にあるでしょうか。

美味しいだけではない、その人そのものが伝わる味。

歌手が歌を歌うように、役者が舞台に立つように、コーヒー屋さんはコーヒーで表現するもの。

私の情熱は皆様にちゃんと伝わっているでしょうか。



色々な人に色々な事を教えて頂いて、わかった事があります。

それは、私はやっぱり直火のコーヒーが大好きだと言うこと。

私にとって直火以外の珈琲は一味も二味も足らない、

大切なものがごっそりと欠けてしまったコーヒーであること。

うちの釜はどうやら相当良い釜であること。

直火でも釜を安定させる方法はいくらでもあるということ。

ミルの比較をしてみました。ミルの比較をまとめてみました。

グラインド式は磨り潰して細かくするタイプ、カット式はカットして細かくするタイプです。

グラインド式とカット式では、そのカット面の違いによって、味が若干異なります。

グラインド式の様に磨り潰すタイプは、雑味が出にくいのですが、その分雑味のない高品質豆の旨味は

出にくくなってしまいます。カット式は、全部の味が出ます。


カリタ
ナイスカットミル

カット式
速さ=100g/5分

重さ=2.3kg

(横向き)
幅=218mm
奥行=120mm
高さ=343mm

税込価格16800円

カット式の家庭用ミルの中では微粉は少ない方だと思います。
長い間使っているとだんだん粗くなってきます。ダイヤルで調節出来ないほど粗くなれば、刃を交換してもらって下さい。
高品質豆であれば旨味をきれいに出す事が出来ます。
エスプレッソ用は挽けません。

微粉

デロンギ 
グラインダー
速さ=90g/1分

重さ=1.3kg

幅=160mm
奥行=135mm
高さ=285mm

見た目の挽き目はきれいな方ですが、細か目でドリップ用には向きません。エスプレッソ専用としては良いと思います。

メリタ 
パーフェクトタッチ
U
グラインド式



使っているうちに微粉の量が段々増えてきました。エスプレッソ用も少し粗くなってきたようです。1年程で歯がだめになってきてしまいました。この価格帯のミルは刃がすぐに駄目になります。何年かに一度買い換える必要がありそうです。返って高くつくかもしれません。

カリタ
セラミックミル

グラインド式
速さ=90g/3分

重さ=1.3kg

幅=150mm
奥行=85mm
高さ=215mm


税込価格8980円


グラインド式で、臼刃にダイアモンドより硬いと言われるセラミックを使ったミルです。微粉の量はやや多目です。ハンドドリップをされる方の中には、微粉の味が気になる方も多いようです。カリタさん曰く、「ナイスカットミルに比べると挽き目が細かい。」そうです。これはセラミックなので、比較的刃は長持ちすると思います。
エスプレッソ用は挽けません。

微粉

カリタ  手挽き
ダイヤミル 
グラインド式

速さ=20g/1分

重さ=3.3kg

幅=190mm
奥行=180mm
高さ=250mm


税込価格6980円


挽き目は比較的きれいです。挽き目の粗さも調節可能です。手挽きの中では力の要らない方ですが、その分挽くスピードが非常に遅いです。ちょっと面倒くさくなってしまって、インテリアの一部にしてしまってる人も多いようです。微粉の量は少ない方ですが、味は、荒々しい素朴な味がしますので、きれいな味は出しづらいです。
エスプレッソ用は挽けません。

微粉

ザッセンハウス
カット式

速さ=20g/30分

税込価格7000円

ザッセンハウスであれば、刃はどれも同じ物を使っていますので、型式や価格の違いは、デザインの違いによるものです。

ダイヤミルのスピードに比べ、非常に早く挽けました。刃が鋭いのでしょう。力もほとんど要りませんでした。ただ、使い始めは、微粉の量が気になります。味も微粉の味がかなり出てしまいます。しばらく使っていく内に、刃がこなれてきて、微粉の量も減り、きれいな味が出るようになってきます。エスプレッソ用は挽けません。

微粉

富士珈機のR-440
グラインド式

こちらは業務用です。挽き目は一番きれい。富士珈機の家庭用ミル「みるっこ」は、富士珈機さん曰く「挽き目のきれいさは変わりません。」との事でした。エスプレッソ用は挽けません。

微粉

富士珈機
みるっこ

R220 DX
グラインド式
速さ=250g/1分

重さ=5kg

(横向き)
幅=245mm
奥行=165mm
高さ=360mm


税込価格26800円


本当に業務用と変わらずとてもきれいに挽けます。モーターも力強く、家庭用のミルの中では、一番丈夫で長持ちです。機械としてみた場合の性能では、これ以上の家庭用ミルを探すのは難しいかと思います。ミルとしてみた場合は、グラインド式ですので、味の好みによります。 雑味が出にくく、きれいな味を出してくれます。逆に、豆の持つ全部の味は出にくいです。挽き目のダイヤル調節と刃の微粉掃除さえしていれば、半永久的に使えます。
エスプレッソ用は挽けません。

「ちなみにみるっこには、カット臼付きと言う機種もあります。これは、エスプレッソ専用とお考え下さい。カット臼付はカット式ではありますが、微粉の量は非常に多いので、ドリップにはおすすめできません。」

微粉
実際自分の目で確かめてみたいと言う方は、うちのお店に展示しているものであれば挽き比べできますので、ご来店下さいますと御覧になって頂けます。



--2002.2--

やっぱり10kg釜は美味しいなあ。何とも言えん美味しいなあ。

10kg釜にしか出せない味があるんやなあ。

それはそうと、最近思うのですが、珈琲には横の味と縦の味があって、

横の味が好きな人が求める珈琲と縦の味が好きな人が求める珈琲はちょっと

違う味がすると思うのです。横の味とは、口に入れた瞬間に横に広がる味。

縦の味とは奥行きのある味。鼻に抜ける旨味。飲み終わった後に感じる旨味。

究極の横の味の珈琲に出逢う事はあっても、究極の縦の味の珈琲に出逢う事はあんまり無い。

て言うか無かった。無いなら自分でつくろう。と、汗まみれ珈琲まみれの毎日です。



--2001.2--

最近のクリスタルマウンテンはものすごく豆が汚い。

ほんの5年程前までは大きくてきれいな豆やったのになあ。

ブルーマウンテンも相変わらずやしなあ。ますます粒が小さいなあ。

ハリケーンかなあ。

これやったら、もう少し安くしてくれたらいいのになあ。そういうわけにはいかんのかなあ。

まるでうちが雪印みたいに偽りの表示してるみたいでいややなあ。

何でこんなに高いんかなあ。

・・・なあなあと独り言が多い今日この頃です。


焙煎機ってすごい!

ほんの数ミリ(数ミクロ?)、ガスの(ガス圧じゃなく)空気を絞るだけで味が全然違う。

一体誰が考えたん?

こっわー。


何やろ。東大行くより難しいで。きっとこれ。



ちょっと、思うところありましてしばらく日記はお休み致します。



--2001.5--

思うところあってしばらく日記をお休み致しました。

「思うところ」とは、「もっと美味しく出来るはず」を「もっと美味しくなりました」にかえる為の、

「思うところ」で、その全てをやり尽くしてしまいたかったのでした。

今の珈琲は今の私の精一杯です。

でも、「もっと美味しく」していく努力は一生かわることなく続けていかなければなりませんし、

そしてまたすぐにでも「思うところ」がむくむくと湧いてくるかもしれないのです。



いろいろな方とお話をさせて頂いてわかる事は、やっぱりロブスタの味を好む人は思っている

以上に「多い」と言う事です。その方々曰く「バニラのような甘い香りと、おいも系の甘味、

強い苦味とこくが美味しい。」そうです。

臭っただけで吐き気がしてしまってどうにも飲めない私はちょっと異常なのかもしれませんが・・。

珈琲は嗜好品なので、色々な味を好む方がいて当然。

でも、少なくとも自分が飲んでいるコーヒーがどういうもので、それを承知で、

「それでも私はロブスタが好き」と言える人が増えるといいなあと思います。

だから、ロブスタくさい珈琲を高級コーヒーなあんて言って高い値段で売ってしまうのだけは

やめてもらえないものだろうか。「これは安い生豆だけど、私は美味しいと思うから使ってます」

って何で堂々と言えないのかなあ。

「ロブスタは味の素だ」って言ってたコーヒー屋さんがおられました。

少し加える事で、ブレンドの味がよくまとまって美味しくなるんだって。

だからロブスタを使ってるんだって。

そっちのほうが全然カッコいいと思います。



色ハンドピックはしなくて良いとか、珈琲の味は生豆が何割、焙煎が何割だとか、

何よりも新鮮さが大切だとか、色々な人が色々な事を言うけれど、

お客様の立場になって考えれば、そりゃあハンドピックはしていないよりしていてくれたほうが

良いに決まっているし、生豆は良い豆を使っていて欲しいに決まっているし、

焙煎もちゃんとやってもらわなきゃいやだし、新鮮であればあるほどうれしい。

そのどれもこれもが同じように大切で、そのどれもこれもに手を抜かずそのどれもこれもに

100%精魂込めて手間をかけてやって行かなくてはいけないと思います。

コーヒーへかける愛情はお客様にかける愛情と同じであり、またそうでなければならないと

思います。素材への愛情があれば、素材を最大限に生かしてあげなければならないと思うし、

それを飲んでくれる人への愛は手抜きでは絶対に伝わらないと思うのです。

ただ、そういう自分もありあまる情熱や愛情をちゃんと伝え切れていると言う自信があるわけでは

ありません。いつもそう願いながら、手を珈琲色に染めながら身をすり減らしながら命を

削りながら、コーヒー屋さんの毎日は明け暮れていきます。




フェアトレードコーヒーについてのテレビ放送を見ました。

少し腑に落ちないと思ったのは、あの人はコーヒーのことを本当にわかってそうしているのか

ということ。ただ闇雲に高いお金で珈琲を買う。それがフェアトレードだとは思いません。

もっと良い珈琲をつくるノウハウを提供し、本当に良い珈琲に対してのみ相当の代償を払う。

そして美味しい焙煎、美味しいブレンド、美味しく飲める方法で販売する。

それこそが「フェア」なのではないかと思うのです。

折角高くで買った珈琲を何でインスタントにして売ってるの?。

人が命がけで作っていることを認めているのなら、命がけで売らなあかん。

何でインスタント?。フェアトレードが単なる新手の商法にしか思えなかったのは私だけでしょうか?

ただ、世界各地で買い叩いた珈琲豆をべらぼうな値段(世界中の農園主さんが絶句するそうです)で

売りつける日本のコーヒー屋さんよりは、はるかに素晴らしい・・と思います。




--2001.7--

テレビでガラス工芸家が言った言葉に思わず笑ってしまいました。

「自分が失敗したなと思うものでも、それを欲しいと言う人がおり、

かえってそういうものの方がよく売れたりする。

反対に自分が良いと思うものの方が不評だったりするんです。」

同じように苦笑いを浮かべる世の職人さん方の顔が目に浮かびます。



最近、エスプレッソマシーンについて御質問をよく受けますので

、きょうはちょっとエスプレッソマシーンについてふれたいと思います。

エスプレッソマシーンでおすすめなのはブリエルのファーストクラスです。

御家庭でお使いになるならこれで充分ではないでしょうか。

デロンギは機械臭いゴム臭い泡立ちにくい(修行が必要)の3重苦でしたが、

ブリエルは誰にでも簡単に上手に泡立たす事が出来ます。

ノンストップカプチーノなど高い機種の方が良いのでは?と聞かれますが、

家庭で使うのにボタン一つでフォームドミルクが出きると言うだけで数万円以上高いお金を払う

必要はないのではないか・・と思います。
むしろマニュアルでミルクを泡立てる方がきめこまや

かなミルクが出来ますしその方が断然楽しいと思います。




--2001.10--

やっと涼しくなってきましたね。

コーヒー屋さんにとっては、うれしい季節です。

コーヒーが美味しい季節でもあり、焙煎の灼熱地獄から解放される時でもありますので。

久しぶりに日記を書こうと思い、気付けば、なんと2ヶ月以上ぶり。

でも、さぼっていた訳ではありません。

新しいブレンドの創作意欲が湧いてしまって、没頭する事2ヶ月あまり、

皆様に御紹介できる日を楽しみに試行錯誤の毎日です。

「美味しい!・・ねんけどなあ」

この、「ねんけどなあ」が取れるまであともう少し・・やねんけどなあ・・。

なかなか納得できるものは出来ずにおります。

美味しければ良いのかもしれません。

でもそこにお店の個性を求めてしまうから悩んでしまいます。

でも個性を求めすぎても、それは「売れない」ものになってしまいがちです。

お客様にしてみれば、「余計な事」なのかもしれませんね。

わかっているつもりなのですが・・。



最近、私の主人がビリヤードにはまっておりまして、

「ビリヤードは科学や!」なんてわけのわからない事を申しております。

ビリヤードが上手な人は永年のカンというものに頼ってやっている様に見えているけれど、

実は奥深い計算や物理に基づく何かがあるそうなのです。

珈琲の焙煎も同じです。

職人の腕が問われる世界ではありますが、職人のカンだけに頼っていては

「絶対にイケナイもの」です。

でも、全く同じ煎り方をしていても、手が変わると味も変わる「不思議」があるのも

手作りの良さだと思います。誰がやっても同じでは、あまりに味気ない。